
OHSAS18001
OHSAS18001:2007 労働安全衛生マネジメントシステム
1.はじめに
OHSAS 18001は、企業が労働安全衛生の管理とその実績の向上をめざし、従業員及び関係する人々の労働災害のリスクを除去し又は低減するために作られた国際規格です。
この規格では、法規制の順守を基本にして企業が労働安全衛生の実績を向上するための自己管理責任を求めています。
2.OHSAS18001の背景
企業従業員の労働災害の発生は従業員の生命と健康を損なうばかりでなく、対策に多額の費用がかかり、その他、生産活動の一時的な停止命令や、場合によっては管理監督者や経営者の責任の追及といった法的刑罰が科され、また、社会的な批判や制裁に晒されることもありうるため、企業経営上からも大きなリスクとなっている。このため、世界各国とも強制基準により企業に対して管理を義務付けており、日本でも労働安全衛生法で雇用者の責任が定められています。
しかし、労働災害の発生状況は、長期的には減少してきていますが、今なお多数の従業員が被災し、その減少率に鈍化の傾向が見られます。また、近年、労働災害が多発した時代を経験し、労働災害防止のノウハウを蓄積したベテラン担当者の退職等に伴い、安全衛生管理のノウハウが事業場において十分に継承されないことにより、事業場の安全衛生水準が低下し、労働災害の発生に繋がるのではないかと危惧されています。
企業が労働災害のリスク除去、低減するには、法規制を順守することは当然ではありますが、それだけでは十分な成果が得られていません。そこで、企業の自主管理責任を基本理念とする労働安全衛生マネジメントシステムOHSAS
18001が国際規格として制定されました。
現在、製造業や建設業等の労働災害リスクの高い業種を中心に、OHSAS 18001の認証取得により、労働災害による経営のリスクを最小限に留めようという企業が増えてきています。
3.OHSAS18001とは
OHSAS18001は、Occupational Health & Safety Management System=労働安全衛生マネジメントシステムの推奨事項をまとめたBS8800規格(1996年イギリス規格協会BSI発行)をもとに、国際規格として1999年に発行されました。
その後、要求事項の明確化や他のISO規格との両立性を向上するために、2007年に改訂が行われました。
OHSAS18001は、現時点では、ISOの規格にはなっていませんが、ISO14001との両立性を意識して作成されています。従って、他のISO規格と同じ考え方に基づいており、PDCA[Plan
- Do - Check - Act]による労働安全衛生のためのマネジメントシステムとなっています。
4.OHSAS18001の内容
OHSAS18001の主要な要求事項はISO14001と類似の構成になっています。この規格は、企業が効率的に労働災害・健康災害のリスクを管理・運営していくためのマネジメントシステムを企業に提供するものです。OHSAS18001規格の要求事項は次の通りです。
この規格の要求事項にのっとり、体制整備することで第三者認証機関による認証取得を受けることができます。
OHSAS18001:2007 要求事項
4.1 | 一般要求事項 |
4.2 | 労働安全衛生方針 |
4.3.1 | 危険源の特定、リスクアセスメント及びリスク管理策の決定 |
4.3.2 | 法的及びその他の要求事項 |
4.3.3 | 目的及び実施計画 |
4.4.1 | 資源、役割、責任、説明責任及び権限 |
4.4.2 | 力量、教育訓練及び自覚 |
4.4.3 | コミュニケーション、参加及び協議 |
4.4.3.1 | コミュニケーション |
4.4.3.2 | 参加及び協議 |
4.4.4 | 文書類 |
4.4.5 | 文書管理 |
4.4.6 | 運用管理 |
4.4.7 | 緊急事態への準備及び対応 |
4.5.1 | パフォーマンスの測定及び監視 |
4.5.2 | 順守評価 |
4.5.2.1 | 法的要求事項 |
4.5.2.2 | その他の要求事項 |
4.5.3 | 事故誘因の調査、不適合並びに是正処置及び予防処置 |
4.5.3.1 | 事故誘因の調査 |
4.5.3.2 | 不適合並びに是正処置及び予防処置 |
4.5.4 | 記録の管理 |
4.5.5 | 内部監査 |
4.6 | マネジメントレビュー |
5.OHSAS18001導入のメリット
OHSAS18001による労働安全衛生の管理により、企業は次のメリットが得られます。
- 1) 労働安全衛生水準の向上
- 2) 労働生産性の向上(労働災害による欠勤の減少)
- 3) 従業員の安全意識の向上
- 4) リスクを想定した経営管理体制の構築
- 5) 潜在的リスクの軽減による事故発生の減少
- 6) 労働災害によるコスト負担の低減
- 7) 緊急事態への対応力の向上
- 8) 企業イメージの向上
6.認証取得活動のステップ
労働安全衛生マネジメントシステム構築の基本プログラム

- (1) 経営者の意志決定
- (2) 推進組織(委員会)の設置
- (3) 規格要求事項の理解
- (4) 初期レビュー
- 1) 労働安全衛生法規制のリストアップ
- 2) 危険源の特定、リスクアセスメント
- 3) リスク管理計画の設定
- (5) 労働安全衛生方針、目標・プログラムの設定
- (6) 労働安全衛生マネジメントの文書化
- 1) 労働安全衛生マニュアル
- 2) 規定類
- 3) 手順書、帳票類
- (7) 従業員及び内部監査員の教育研修
- (8) システムの運用
- 1) 全従業員の参加、それぞれの部署で決められた手順の実行
- 2) 内部監査の実施
- 3) マネジメントレビューの実施
- (9) 審査(1st、2nd)
(1)~(6)まで: 約6ヶ月
(7)~(9)まで: 約4ヶ月
合計 約10ヶ月
7.テクノソフトの認証取得コンサルティング内容
- 1) 第1ステップ 初期レビュー
- 労働安全衛生法規制のリストアップ
- 危険源の特定
- リスクアセスメント
- リスク管理計画の作成
- 2) 第2ステップ システム構築
- 労働安全衛生マニュアルの作成
- 方針、目標、プログラムの作成
- 規定類の作成、整備
- 手順書、帳票類の作成、整備
- 3) 第3ステップ 運用
- 従業員教育
- 内部監査
- 是正処置
- 4) 第4ステップ 審査対応
- マネジメントレビュー
- 審査1st(システム構築状況の確認)の受審と是正
- 審査2nd(運用状況の確認)の受審と是正
8.認証取得までのマスタースケジュール
項目 | スケジュール | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | |
推進組識・役割分担の決定 | - | ||||||||||
取得活動スケジュール策定 | - | ||||||||||
OHSAS18001規格の理解 | - | ||||||||||
初期レビュー | - | - | - | ||||||||
現状把握 | - | - | |||||||||
リスク評価のトライアル | - | - | |||||||||
リスクアセスメントの実施 | - | - | |||||||||
労働安全衛生方針の表明 | - | ||||||||||
システム構築 | - | - | - | - | - | ||||||
安全衛生マニュアル作成 | - | ||||||||||
規定、手順書作成 | - | - | - | ||||||||
帳票/記録様式作成 | - | - | |||||||||
安全衛生目標の設定 | - | ||||||||||
労働安全衛生マネジメントプログラムの作成 | - | - | |||||||||
システムの運用 | - | - | - | - | - | - | |||||
教育訓練 | - | - | |||||||||
実施・見直し・改善 | - | - | |||||||||
内部監査セミナー実施 | - | ||||||||||
内部監査実施 | - | ||||||||||
マネジメントレビュー実施 | - | ||||||||||
審査 1st | ☆ | ||||||||||
審査 2nd | ☆ | ||||||||||
登録 | ◎ |
