ISO9001

ISO9001 品質マネジメントシステム

I.広がるISO

商取引のグローバル化 → 顧客満足の追求 → 顧客満足をベースとした事業運用

商取引の急速なグローバル化に伴い、取引き先の品質保証能力が一定レベル以上であること推し量る基準として、ISO9001の認証が用いられてきた。ISO9001は、国際標準化機構(ISO)が世界的に統一された産業上の管理標準として制定した、企業の自主管理を基本にしたシステムであり、顧客に対する自己管理責任を約束するものである。
日本では、当初主にヨーロッパに輸出する企業が必要に迫られて取得していたが、現在では輸出を理由にISOをとる企業は減り、むしろISOを自社の「管理システム」の一手段ととらえ、体質強化を目標とする企業が増えている。
ISO9001は、1994年に制定後、2000年版への改定、2008年度版の追捕を経て、顧客満足を目指す継続的改善のためのシステムへと成長し、今年迎えた2015年版の改訂で、リスク及び機会への取組みに関する要求事項が強化され、総合的に事業運用をより確実に進めるためシステムへと進化した。

ISO9001は製品の品質を管理する仕組みの規格 ≠ 製品の規格

ISO9001は製品・サービスの品質の良否を決める規格ではない。顧客が求める一定の品質の製品・サービスが常に提供されるような仕組みを作り、顧客と約束したことを果たすことにより顧客の満足を得るための規格である。
この規格を取り入れることにより、顧客要求を満たす製品・サービスを提供するための品質管理の仕組みとともに、それを継続的に改善し、顧客満足を向上させる事業準用が可能なマネジメントシステムを作ることができる。

取得企業の広がり → 製造業からサービス業へ

日本でのISO9001の取得件数は約5万件。当初は製造業、建設業、電気関係企業の取得ラッシュがあったが、近年サービス業の取得が急増し、取得企業の比率が変化しつつある。流通業、病院、地方公共団体など業種に関係なく取得を目指す企業・団体が増えており、2015年度版の規格は、従来よりもサービス業の取り組みを意識した表現を用いて書かれている。

企業経営へのISO9001のメリット

  1. 企業が、顧客の満足する均一な品質を常に提供できること(品質保証能力)を証明し、取引先、顧客から信頼感を得る。
  2. 企業を取り囲む様々な状況からの影響を未然に防ぎながら、1を目的とした事業運用(経営)を行うことができる。

Ⅱ.ISO9001の内容

標準化 → 文書化 → 実行 → 記録

  1. やり方を決め、実行し、記録する
    ISO9001の規格が求めていることは、「ISO9001が定めた管理の仕組みに対して、貴社では具体的にどのようにするか決めて行いなさい」である。企業活動において、受注から製品製造、出荷までの手順やルールは、大企業は大企業なりに、中小企業は中小企業なりに「自分たちのやり方」を決定しなければならない<標準化>。やり方を決めたら、それを統一するために、紙に書いて見える化することが重要である<文書化>。次に、決めたやり方をその通り実行し実行>、その結果を記録する記録>。「当社では○○について△△しており、それはここに決めてあります。これがその通り行った結果の記録です。そうして作られる製品/提供するサービスがこれです。」と具体的に示すことで、真にお客様の信頼を得ることができる。

計画(標準化)Plan → 実行Do → チェックCheck → 処置・改善Act

  1. やり方を定め、その通り実行し、出来ているかチェックし、改善する
    業務のやり方を決め(計画Plan)、その通り実施Doし、決められた通り、計画した通りできたかどうか、顧客の満足を得られるようにできたかどうかチェックCheckし、できていないところ、不足があれば適切に処置し、改善Actする(PDCAサイクル)。これによって、会社の品質管理の仕組みを継続的に改善することができる。
    PDCAサイクル
  2. ISO9001規格の要求事項
    表1.ISO9001の要求事項一覧
    条項番号 要求事項
    4. 組織の状況
    4.1  組織及びその状況の理解
    4.2  利害関係者のニーズ及び期待の理解
    4.3  品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    4.4  品質マネジメントシステム及びそのプロセス
    5. リーダーシップ
    5.1  リーダーシップ及びコミットメント
    5.2  品質方針
    5.3  組織の役割、責任及び権限
    6. 計画
    6.1  リスク及び機会への取組み
    6.2  品質目標及びそれを達成するための計画策定
    6.3  変更の計画
    7. 支援
    7.1  資源
    7.2  力量
    7.3  認識
    7.4  コミュニケーション
    7.5  文書化した情報
    8. 運用
    8.1  運用の計画及び管理
    8.2  製品及びサービスに関する要求事項の決定
    8.3  製品及びサービスの設計・開発
    8.4  外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理
    8.5  製造及びサービス提供
    8.6  製品及びサービスのリリース
    8.7  不適合なアウトプットの管理
    9. パフォーマンス評価
    9.1  監視、測定、分析及び評価
    9.2  内部監査
    9.3  マネジメントレビュー
    10. 改善
    10.1  一般
    10.2  不適合及び是正処置
    10.3  継続的改善
  3. ISO9001品質マネジメントシステムの構築

    ISO9001のシステムは現状からスタートする

    それぞれの企業にはこれまで信用ある製品/サービスをお客様に提供してきた実績がある。それがいざISO9001の規格要求をそのまま読み取り、こうあるべきだとの理想に走って、これまで培った企業文化を無視したシステムを確立すると、実行ができなくなり、結局自分の首を絞めることになる。そのため、いま会社でやっていることを先ず手順・ルール化し、それをベースに不足しているところがあれば加え、変更が必要になれば必要なところを変えて、システムを確立することが重要である。システムはその後、弱点や強化すべき点を運用しながら発見し、継続的に改善を実施していけばよい。
  4. 仕組みは文書で作られる
    ISO9001によるシステム構築は、文書作成で行う。ISO9001規格の個々の要求事項に対して、当社ではどのようにするのか決め、それを必要な範囲で文書に定めていく。

Ⅲ.継続的改善、顧客満足の向上

ISO9001の真髄は、「システムをレベルアップし顧客満足を勝ち得ているか」にある。

永続する企業は、変革し、継続的に実績をレベルアップしていなければならない。顧客の要求するニーズもまた停滞しない、常にレベルアップしている。顧客満足を勝ち得るよう継続的に改善できない企業は衰退する。
顧客の求めるニーズを先取りし、目指す目標を立て、それを満たしていくことが顧客満足の向上であり、永続する企業の目指すところである。

Ⅳ.導入のスケジュール

まず何よりも経営トップの不退転の決意とリーダーシップが必要である。忙しさを理由に後回しや、中断すると再開は大変難しい。
一般化すると次図のように、1年足らずの活動になるが、期間は各社それぞれの規模や業務内容、取得活動の程度により異なる。(ISO9001認証取得活動スケジュール 参照)

品質マネジメントシステム構築基本プログラム
認証取得活動スケジュール
支援項目/活動項目
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
ISO9001規格要求事項の理解                      
文書作成(システム構築)            
 ・品質マニュアルの作成                    
 ・規定類の作成                    
 ・業務フローの作成                    
 ・手順書類、帳票の整備、作成                    
システムの運用            
システムの教育(運用状況チェック)                
 ・内部監査員養成(2日間)                      
 ・内部監査実施                      
 ・マネジメントレビュー                      
審査対策                    
審査後のフォロー                      
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