ISOのリフォーム

ISOのリフォーム

1.ISOリフォームの勧め

ISOは、認証取得して3年経ったら整理・整頓、ムダ・ムリ取りが必要です。システムの構築時と現在では業務内容も、事業環境も変化しています。ISOの余分なところ、使っていないところ、もっと必要なところを見直し、企業経営を支えるマネジメントシステムへのリフォームが必要です。
 これまでのISOの活動はどうでしたでしょうか?

□ISOへの問題、不満を感じていませんか。

  • 経営に役に立つISOになっていない、利益に貢献していない。
  • ISOを維持していくための費用負担が大きい。
  • ISOを実施するための煩雑な手順・ルールがあり、業務との乖離がある。
  • ISOは企業ビジネスの飾り物で、審査のために維持している。

□ISOの効果を感じていますか。

  • 管理システムがしっかりし、役割/責任/権限が明確になった。また従業員全体にマネジメントシステムの意識が浸透した。
  • 製品又はサービスに改善が見られた。クレーム、不良率改善に活用できている。
  • 取引先、親会社等からの要求に答えることが出来た。
  • 顧客獲得、新規参入に活用できている。

2.ISOリフォームの計画

Step 項 目 内 容
(1)

ISOの考え方を変える 事業運営上の問題は何か、ISOをどうしたいのか、目的を明確にする。
ISOのためのISOから事業経営のためのISOへ
[事業経営のためのマネジメントシステムの理解]
(2)

ISOのシンプル化 企業活動を最も効率的に実施できるシステムを目標に、ISOの棚卸、整理・整頓、ムダ・ムリ取りを行い、業務との一体化を目指す。
[文書・帳票、ルールの見直し、シンプル化]
(3) 事業経営のためのISOへ 企業経営の中で、ISOを企業活動全般の改善・レベルアップのための仕組みとする。もう審査を意識しない。
[改善・レベルアップの目標設定、PDCAの見える化]
ISOリフォームの勧め

3.ISOリフォームの実施項目とスケジュール

ISOリフォームの実施項目、スケジュールは企業の事業運営上の問題点、ISOマネジメントシステムをどうリフォームしたいのかによって、企業それぞれに異なります。
一般的なスケジュールは次のようになります。(コンサルティング事例はこちら

実施項目 活動期間(月)
1 2 3 4 5 6
システムの見直し、改善
1 現状システムの把握          
2 リフォームの目標、問題点を明確にする          
3 ISOマニュアルの改訂(ビジネスの方法を定める)          
4 規定類の見直し、改定(スリム化、改善)        
5 手順書、帳票類の見直し、改定(整理、改善)        
6 目標の見直し(事業経営の実績を改善する)          
システムの運用、教育
7 管理層へのISOマネジメントシステム教育
         
8 内部監査員レベルアップセミナー(1日)          
9 内部監査実施          
10 マネジメントレビュー実施          

**実施項目の内容**

  • (1) 事業運営上の問題点、リフォームの目標を明らかにするために、現在のISOマネジメントシステムおよび事業上の問題点,検討項目など調査し、把握します。
  • (2) ISOリフォームの目標、改善すべき課題を明確にします。
  • (3) ISOマニュアルを改訂し、目標にそったビジネスの方法を反映します。
  • (4) 規定類を見直し、ISOマニュアルの詳細を簡潔に著す規定類にスリム化し改善します。
  • (5) 業務の具体的な実施手順を見直し、規定類を満たすために必要なものに整理し、その内容を改善します。
  • (6) ISOマネジメントシステムの目標を見直し、企業の総合的な実績アップにつながる目標を設定し、PDCAで進捗管理できる仕組みを作ります。
  • (7) ISOマネジメントシステムを牽引しなければならない管理層に対して企業の実績アップにつながるISOの運用の仕方を教育します。
  • (8) 内部監査員が、企業の実績を改善するための問題点を指摘できるよう、レベルアップのためのセミナーを実施します。
  • (9) 内部監査によって、企業実績改善のための問題点を見つけ出します。
  • (10) マネジメントレビューによって、企業実績改善のための処置、決定を表明・指示します。

4.ISOの問題点とリフォームのポイント事例

  項 目 内 容
(1) ISO取得の目的が分からなくなっている。従業員のISOに対する意識が低い。 コミュニケーションの方法、教育の項目、責任権限の周知を見直す。各部署の目標を事業経営に一致させる。目標達成を従業員の評価に結びつける。
(2) ISOが事業利益の改善に結びついていない。 ISOの仕組み、手順を、直接・間接に「収益改善」につながるかどうかで見直す。
(3) 製品やサービスの品質が継続的に改善していない。 PDCAを確実に実施できる仕組みにする。(グループごとのデータ分析、是正処置の徹底)
(4) 製品不良率、クレームなど減少していない。 PDCAを確実に実施できる仕組みにする。(グループごとのデータ分析、是正処置の徹底)
(5) ISOの仕組みが重たい。ISOで仕事がしにくくなり、業務効率が悪くなっている。 規定、手順書を見直し、整理する。(なくても事業経営に障害とならないものを捨てる)
(6) 審査のたびに、審査結果への対応で右往左往させられる。
ISO手順が企業実績にどうつながっているか分析し、ISOの運営に自信を持つ。自信をもてないところを改善する。
(7) 内部監査、マネジメントレビューの実施が重荷になっている。 役に立っているところを見出し、そこを活用する仕組みにする。
(8) 現場にとってあまり意味のない文書や記録を作成しなければならない。業務上の書類とISOの書類が2重になっている。 規定、手順書を見直し、整理する。(なくても事業経営に障害とならないものを捨てる)
(9) ISOは会社の経営・事業活動とは別のものになっている。飾りになっている。審査のためのISOになっている。 事業経営からISOの必要性、維持の目的を再検討し、不要な場合はISOを止める。必要度に応じて目的を明確にし、それに合うシステムに変更する。
(10) 品質目標、環境目標が適切なものになっていない(審査で問題が出ないように設定している) 各部署で事業経営に直結する目標を考える。(各部署で事業上、業務上の課題、問題点をリストアップし、その重要性を順位付けして、上位から目標に選ぶ)

ISOの統合

1.企業経営に役立つISOマネジメントシステムの統合

ISOマネジメントシステム規格は、日本で普及し始めて10年以上が経過し、企業の管理システムの基準として認められてきました。すでに9万社以上が認証取得しており、2つ以上のISOマネジメントシステムを企業の経営に活用している会社も数多くあります。
会社の業務は、本来経営層から始まるマネジメントシステムによって一つの流れで管理されているはずです。会社の業務に対して、例えば品質から、環境からというように個別にマネジメントシステムを作り、それぞれの区分で管理しようとすることから、経営に役立たない、会社の業務とは別物になっているなどの問題、課題が生じます。また、複数のマネジメントシステムは、個別の運用でムダ、ムリが生じます。
統合とは、そのような複数のマネジメントシステムを一元化し、企業のマネジメントシステムへ一本化しようとするものです。その目指すところは、企業の経営上の多様な問題点・リスクを総合的に抽出し、それを改善できる仕組みを作りだすことにあります。

企業のマネジメントシステムに一元化されたISOの必要性

2.統合マネジメントシステムのすすめ

1. 複数のマネジメントシステムを独立して運用することの問題点

ISO9001ISO14001を個別に運用していて以下のようなことを感じていませんか?

  • (1) 管理体制(組織、責任権限、等)が複数あり、錯綜している。1つの部署に複数の指揮命令系統がある。
  • (2) 文書体系が複数あり煩雑だ。記録も重複しているものがある。
  • (3) 内部監査、外部審査の回数が多い。
  • (4) マネジメントシステム間で一部矛盾が生じている(一方を追求すると他方が犠牲になるような両立しえない関係がある)。
  • (5) 経営に役に立つISOになっていない、利益に貢献していない。
  • (6) ISOを維持していくための費用負担が大きい。

2. マネジメントシステムを統合することの利点

  • (1) マネジメントシステムの重複を解消し、会社・組織のマネジメントシステムに一本化できる。
    • a) 管理体制の統一化・最適化:指揮命令系統を一元化し、多角的かつ迅速な判断を実現する。
    • b) ルール・文書、記録:管理項目のスリム化により、会社・組織の業務と一体化する(日常活動化する)。
  • (2) 目標管理の仕組みを統合して、会社・組織全体の事業計画に連動し、経営上の重点課題と現場の活動を一体化して、企業体質の強化につなげる。
  • (3) 業務全体から様々な問題・リスクを見える化し、経営上のより重要なポイントに焦点をあて、継続的に改善できる仕組みにする。
  • (4) 経営判断/決定のための一元化した情報が得られる。
  • (5) 内部監査の有効化、工数低減になる。
  • (6) 外部審査機関による審査工数が減り、維持費用の節減になる。 (統合審査 最大20%削減、統合の程度により審査工数は異なります)

3. 統合マネジメントシステムの程度(複合-統合)

統合マネジメントシステムの基準は、統合の対象とするISOマネジメントシステムの規格要求事項を総合したものです。
しかし、統合の程度は、企業の考え方、取組み方により、いわゆる「複合」からより一元化された「統合」まで、システムの構成に幅があります。従って、マネジメントシステムを統合することの利点はその統合の程度(複合→統合)に応じて異なります。(次項参照)

3.ISOマネジメントシステム複合・統合の方法

1. 統合の考え方

個々のマネジメントシステムのタイトル(品質、環境、など)をできるだけ意識しないような、企業の目的を達成するための一体化したシステムの構築を目指します。また、これまでの運用からの問題点、改善点を踏まえ、企業の目的に合ったシステムにスリム化し、有用度の少ない手順を廃止します。
統合のシステム構成は「ISO9001-ISO14001統合例」に示すように、多様です。個々の企業の考え方に合ったシステム構成により、複合・統合に取組みます。
なお、審査では二つ以上の規格を同時に審査されますが、統合審査・複合審査の呼称は審査機関により異なります。

ISO9001-ISO14001統合例
  区分 統合内容 文 書 審査
1 複合I (1)規定の一部を共通化し、重複を避け、スリム化。
(2)マネジメントシステム運用は個別。
(1)品質、環境マニュアルを個別に作成。
(2)規定の一部を共通化(文書・記録管理、内部監査、マネジメントレビュー等)。
(3)方針、目的・目標、実行計画は個別に作成。
複合
2 複合II (1)規定を極力共通化し、重複を避け、スリム化。
関連する記録様式も共通化。
(2)マネジメントシステム運用を現状のままで一体化。
(3)内部監査、マネジメントレビューの統合(同時実施)。
(1)品質、環境マニュアルを個別に作成。
(2)規定を極力共通化 (上記に加え、目的目標の管理、コミュニケーション、教育、不適合、是正・予防処置、など)。
(3)方針は個別に作成。
(4)目的・目標、実行計画は一本化。
複合
3 統合I (1)1つの文書体系。
(2)現状のままでマネジメントシステムを一体化し、運用。
(3)経営、事業推進の一部を統合マネジメントシステムにのせる(目的・目標、実行計画)。
(4)業務改善、スリム化を目指す。
(5)内部監査、マネジメントレビューの統合(同時実施)。
(1)統合マニュアルを作成
(2)規定は統合マニュアルに整合して一元化。
(3)方針、目的・目標、実行計画は一本化。
複合
4 統合II (1)経営、事業管理と一体となる統合マネジメントシステム。
(2)リスク評価の考え方を入れる。
改善・レベルアップを目的とする。
(3)プロセス管理、全てのプロセスに目標値・基準を設け、PDCAで管理。
(4)内部監査、マネジメントレビューの統合(同時実施)。
(5)経営と直結する運営。コストや利益管理を行い、全社パフォーマンスをトータルで向上させる。
(1)品質、環境マネジメントシステムで組織を同一とし、経営者及び管理責任者を同一とする
(2)リスク評価、改善・レベルアップを含む統合マニュアル作成。
(3)全ての文書、記録は企業活動と一体化する。
統合

2. 統合のプログラム

Step 項 目 内 容
(1)

ISOの考え方を変える 事業運営上の問題は何か、ISOをどうしたいのか、目的を明確にする。
ISOのためのISOから事業経営のためのISOへ
[事業経営のためのマネジメントシステムの理解]
(2)



ISOのシンプル化 企業活動を最も効率的に実施できるシステムを目標に、ISOの棚卸、整理・整頓、ムダ・ムリ取りを行い、業務との一体化を目指す。
[文書・帳票、ルールの見直し、シンプル化]
ISOの統合 複数のISOマネジメントシステムを統合化し、一元化されたシステムにする。
[システムの統合/複合]
(3) 事業経営のためのISOへ 企業経営の中で、ISOを企業活動全般の改善・レベルアップのための仕組みとする。もう審査を意識しない。
[改善・レベルアップの目標設定、PDCAの見える化]

3. 統合のスケジュール例 (コンサルティング事例はこちら

ISO9001とISO14001の統合システムを目的とした一般的なスケジュールは次のようになります。

実施項目 活動期間(月)
1 2 3 4 5 6
システムの統合
1 現状システムの把握
統合システムの構成検討
         
2 品質、環境マニュアルの見直し/統一化      
3 品質・環境規定類の見直し、共通規定の作成
・規定のスリム化、削除、改善の検討
  -- -- --  
4 品質・環境手順書、帳票類の見直し、共通文書の作成
・文書、帳票のスリム化、削除、改善の検討
  -- -- --  
5 目的・目標の一元化       --    
システムの運用、教育
6 内部監査員レベルアップセミナー(1日)
         
7 内部監査実施(統合システムでの)          
8 マネジメントレビュー実施          

**実施項目の内容**

  • (1) 統合システムの考え方、構成を決定するために、現在のシステム文書を調査し、問題点、検討項目など把握します。
  • (2) 品質、環境マニュアルは統合を考慮して見直します。マニュアルを一元化する場合は統合マニュアルを作成します。また、その際にも、統合システムの基本的な構成を検討します。
  • (3) 規定類は、品質、環境の共通規定のサンプルをもとに、現状の見直し、今後の改善点を盛り込み、かつスリム化を旨に改定します。また、利用度の少ないものは廃止を考えます。
  • (4) 手順書、帳票は、規定類と同様に現状の見直し、今後の改善点を盛り込み、かつスリム化を旨に改定していきます。また,上記同様、利用度の少ないものは廃止を考えます。
  • (5) 品質目標、環境目的・目標は一元化し、1つの実行計画書で管理できるようにします。
  • (6) 内部監査員が統合(品質、環境)で監査できるようにレベルアップのための1日セミナーを行います。
  • (7) 内部監査で、統合システムでの活動状況をチェックします。
  • (8) マネジメントレビューは品質、環境で同時に実施し、統合システムの構築、運用状況を検討します。同時に、統合システム文書の修正を行います。
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