ISO50001(EnMS:エネルギーマネジメントシステム)の概要
1. はじめに
ISO50001が2011年6月15日に発行されました。ISO50001はエネルギー使用の効率を図り、結果としてエネルギーの使用量を削減するためのマネジメントシステムです。
現在、原子力発電の事故、見直しによる夏期の電力需給の逼迫、石油エネルギー価格の高騰、省エネ法・CO2排出規制への対応、など企業のエネルギー管理への要望、規制がますます大きくなってきています。
2. ISO50001とは
ISO50001は、企業のエネルギー使用を経営の中で管理することに的を絞っているのに対し、ISO14001は企業が事業活動の中で取組む環境活動全般に重点をおいています。もちろんエネルギーの使用もISO14001が取り扱う環境側面一部です。ISO14001の活動を行っているいないに係わらず、エネルギー使用量の改善を目指す企業はISO50001が指針になります。
3. ISO50001の内容
ISO50001がエネルギーマネジメントシステムを実施する際に、企業に要求している内容を次の表にまとめてみました。
要求項目 | 具体的内容 |
---|---|
エネルギー方針 | エネルギー使用量の改善を達成するための方針を表明する。 |
法的要求事項及びその他の要求事項 | エネルギーの使用関して適用される法規制等を特定する。 |
エネルギーレビュー | エネルギー削減目標設定のために、現在の使用量を把握する。 |
エネルギーベースライン | エネルギー削減目標の基準を明確にする。 |
エネルギーパフォーマンス指標 | エネルギー使用量を監視するための測定項目を決める。 |
エネルギー目的、エネルギー目標 | 長期・短期のエネルギー削減目標を設定する。 |
エネルギーマネジメント行動計画 | 目標を達成するための行動計画を策定する。 |
設計 | 施設、設備、プロセス等の設計を行う場合には、エネルギー使用量及び運用管理の方法を考慮する。 |
エネルギーサービス・製品・設備及びエネルギーの調達 | エネルギーを使うサービス・製品・設備又はエネルギーそのものを調達する際には、エネルギー使用量・効率を評価し、購買仕様書を明確にして調達する。 |
4. ISO50001の必要性
企業とってエネルギー使用量(パフォーマンス)の改善は、コスト低減、これに伴う競争力アップ、さらに環境影響や温暖化ガスの削減にも貢献するというメリットがあります。
さらに、経済産業省が2011年5月13日に公表しました「夏期の電力需給対策」にて、「今夏以降の需給対策」として「今夏に策定される予定のエネルギー管理システム規格(ISO50001)について、その認証取得を政府調達の際に考慮すること等を通じて、活用を促す」ことを挙げました。今後の省エネルギー対策としてISO50001が大きな効果を生むことに政府も期待を寄せています。