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BCPコラム 第4回 訓練・演習の重要性について

2025年4月17日

過去3回のBCPコラムでは、このようなポイントをお伝えしてきました。

<第1回>

・緊急事態への対応遅れを防いで事業を継続させるために、BCPが必要になる事
・BCP策定により、災害発生時の対応力が向上し、取引先からの信頼も向上し、自社のコア事業が明確になるなどのメリットが享受できる事

<第2回>

・策定企業は、従業員のリスクに対する意識の向上や、事業の優先順位の明確化などにメリットを感じている事
・一方策定していない企業は、スキル・ノウハウ不足や、実践的に使える計画にすることの困難さなどの悩みを抱えている事

<第3回>

・まずは、各自治体のハザードマップで、自社や自宅の周辺で、どのような災害リスクがあるか、どこに避難所があるかを確認するのが重要な事
・J-SHIS(地震ハザードステーション)、気象庁 キキクル、国土交通省 川の防災情報など、国が提供している自然災害についてのサイトも活用するのが良い事

今回のテーマは、訓練・演習です。BCPは策定して終わり、ではなく、本当に災害に対応できる力をつけるためには訓練や演習が欠かせません。これから訓練・演習の重要性とその種類・やり方を紹介します。

なぜ訓練・演習が必要か

BCPは、作っただけではいざという時に効果が発揮されるかどうかは分かりません。訓練・演習を定期的に行い、いざという時に実施できることが重要です。その理由は大きく2つあります。

1.BCPを常に使えるものに維持するため

企業は「生き物」です。組織や従業員数、取引先が変化することがあります。変化に応じてBCPをメンテナンスしていたとしても、本当に有効に機能するかは、訓練・演習によって確かめるのが望ましいです。そしてBCPに不具合が見つかれば、改善をして、いざという時に備えるべきです。

2.想定通りの災害は来ない

BCPでは想定される災害をもとに、対応策を立てていきますが、実際は想定外の災害が起こる可能性の方が高いです。BCPにはあらゆる想定を網羅したモノにはなっていないので、訓練・演習によって災害への対応力を高めておくことが大切です。

訓練・演習を行うメリット

1.BCPの評価・改善:

前述の通り、BCPは、実際に災害が発生した際に、どの程度効果的であるかを評価する必要があります。訓練を行うことで、計画の評価を行い、必要に応じて改善を加えることができます。

2.災害発生時の迅速な対応を可能にする:

BCPの訓練を通じて、従業員に対するBCPの重要性を理解してもらい、BCPに基づいた迅速な対応ができるようになります。また、BCPの訓練によって、災害発生時に必要な情報や資源の収集や活用方法などを確認することが出来ます。

以上の理由から、BCPの訓練は、企業にとって重要な活動であり、定期的に実施することが望ましいです。

訓練・演習の種類

以下に代表的な訓練の種類と、それぞれの内容、目的、参加者、具体的な実施事項、効果を上げるポイントについて簡単に紹介します。

なお、訓練と演習の違いですが、訓練は、BCPの運用の熟練度を上げることが主な目的で、演習は、実施により、BCPの仕組みや手順に妥当性・実効性があるかを確認し、不具合があれば修正することが主な目的、と理解してください。

1.机上演習

① 内容:シナリオを基に、関係者が集まり、BCPの手順を確認しながら対応方法を検討する演習。

② 目的:
・BCPの理解を深めます。
・BCPの手順に問題点、改善点があるか確認します。
・想定される課題を事前に洗い出します。
・コミュニケーションの円滑化を図ります。

③ 参加者: 経営層、BCP担当者、主要部門の責任者

④ 具体的な実施事項
・想定される災害・事故のシナリオを提示します。
・参加者が状況を分析し、対応策を検討します。
・問題点や改善点を議論します。

⑤ 効果を上げるポイント
・具体的なシナリオ
リアリティが感じられる災害の詳細を設定することで、参加者が状況をイメージしやすくなります。

・目的と達成すべき成果の共有
事前に演習の目的や達成すべき成果を参加者に伝えることで、参加者の集中力が高まります。

・参加者のコミュニケーション促進
ワークショップ等を取り入れ、参加者同士のコミュニケーションを促進します。

・演習後の評価
演習後に、課題や改善点を挙げて、今後の運用改善に活かします。

これらのポイントを押さえることで、机上演習の効果を高め、BCPの実効性を向上することができます。

2. 実地訓練

① 内容: 実際に従業員が動いて、BCPで定めた行動を実施する訓練。

② 目的:
・実際の対応能力を向上させる
・手順の実効性を検証し、改善点を発見

③ 参加者: 全従業員、特に危機対応チーム

④ 具体的な実施事項
・避難訓練(火災・地震・急な増水等の対応)
・緊急連絡網の確認・実施
・非常用設備の使用(発電機など)

⑤ 効果を上げるポイント
・リアルな状況設定
実際に起こりうる災害を設定することで、参加者がより実践的な対応を学ぶことが出来ます。

・明確な役割分担を行う
事前に参加者それぞれの役割や責任を伝えることで、参加者が自分の役割に集中できます。

・即応性の訓練
予期しない状況に対応できる練習を入れると効果的です。

・定期的な実施
定期的に訓練をおこなうことで、参加者の熟練度が上がり、非常時の対応力が向上します。

・訓練後の振り返り
訓練終了後に全員で振り返りを行い、良かった点、改善すべき点を確認します。次回に向けては、参加者の意見も取り入れるのが望ましいです。

これにより、避難訓練などの効果が高まり、安全性と対応力の向上に繋がります。

3. 緊急対応チームのロールプレイ訓練

① 内容:緊急対応チームが災害・事故発生時の指揮命令や判断をシミュレーションする訓練。

② 目的:
・緊急時の指揮命令系統を明確化
・迅速な判断と意思決定能力を養う

③ 参加者: 経営層、BCP担当者、緊急対応チーム

④ 具体的な実施事項:
・想定シナリオに基づく指示出しの実践
・状況変化に応じた対応策の検討
・コミュニケーションと情報共有の確認

⑤ 効果を上げるポイント
・リアルなシナリオ作成
実際に起こりうるシナリオを作成し、参加者が具体的な対応策を検討できるようにします。

・明確な役割分担を行う
参加者それぞれに明確な役割や責任を割り当てて、チーム内の連携を強化します。

・即応性の訓練
シナリオに予期せぬ要素を追加し、チームの柔軟性と迅速な意思決定力を向上させます。

・実施中の観察と記録
訓練中のチームの行動を記録し、後でチームメンバーにフィードバックを行います。

・訓練後の振り返り
訓練終了後に全員で振り返りを行い、良かった点、改善すべき点を共有し、学びを深めます。

これにより、チームの対応力を強化することができます。

4. 事業所移転・代替拠点訓練

① 内容:災害などでオフィスが使用できなくなった場合を想定し、代替拠点で業務を継続する訓練。

② 目的:
・拠点移転時の業務継続手順を検証
・必要な機器・書類・データの確認

③ 参加者:経営層、BCP担当者、主要部門の責任者

④ 具体的な実施事項
・代替拠点への移動と業務継続シミュレーション
・必要機材やデータのチェック
・代替拠点での業務遂行テスト

⑤ 効果を上げるポイント
・優先事項の確認と共有
訓練前に、代替拠点での業務の優先事項を確認して、全員で共有します。

・代替拠点での実際の仕様
実地で代替拠点を使用し、実務的な課題を列挙します。代替拠点が自社でない場合は、相手との事前協議が不可欠です。

・役割分担の明確化
代替拠点への移転作業や、移転後の作業について、参加者各自の役割と責任を明確にしておきます。

・問題発生時の対処
通信や設備のトラブルなど、想定外の問題に対応するシナリオを入れることで、柔軟な対応力を強化します。

・チェックリストの作成・活用
移転時に必要な手順や確認事項をリスト化して、訓練中に確認します。

・訓練後の評価と改善
訓練終了後に全員で振り返りを行い、課題や改善点を洗い出し、実際の移転時のリスクを軽減します。これにより、実際に事務所が使用できなくなった場合でも、迅速かつスムーズな対応が可能になります。なお、途中でも述べましたが、代替拠点が自社ではない場合、相手と事前に十分協議してください。

訓練以外のお勧め

消防署などが行う事業所の応急手当普及員講習会への参加や、地方自治体が行う防災講演会や、講習会などに積極的に参加して、防災意識の向上を図ることをお勧めします。

まとめ

BCPの訓練は、計画を作るだけで終わらせず、実際に機能するよう定期的に訓練・演習を実施することが重要です。訓練・演習を通じて、BCPを改善すべきところは改善し、BCPの実効性を高め、組織全体の災害への対応力を高めましょう。