ISO17025
ISO/IEC17025:2017(JIS Q 17025:2018)
試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
1.試験所認定制度について
試験所認定制度は、特定の試験や計量計測を実施する試験所の能力を、公式に承認する制度です。ISO/IEC 17025は、個別の試験所・校正機関が能力として満たすべき事項を規定したもので、各試験所等を審査・認定する際のいわゆる「認定基準」となります。
ISO/IEC17011を満たす認定機関により認定された認定機関が試験所及び校正機関を審査し、ISO/IEC 17025の要求事項に適合していれば、試験所及び校正機関の能力があることを認定し登録します。 (ISO/IEC17011は、これら試験所等を審査・登録する認定機関が満たすべき事項などを規定したものです。)
2.ISO/IEC 17025について
ISO/IEC 17025は、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001を参照して、試験及び校正を行う機関が一定の基準を満たすために、必要な事項を規定したものです。国際的試験所の能力に関する要求事項の評価基準となるISO/IEC Guide 25が1987年に制定され、その後ISO9002:1987の品質システムの考えが取り入れられて1990年に改訂版が発行されました。その後、改訂された:1994に調和させて全面的の見直しの上、ISO/IEC 17025:1999が発行されました。さらに、ISO9001:2000の改訂に対応してISO/IEC 17025:2005が発行され、ISO9001:2015の改訂に対応して、ISO/IEC17025:2017が発行されました。この規格の翻訳版がJIS Q 17025:2018です。
3. ISO/IEC 17025の要求事項
次表の要求事項があります。これらに該当する要求事項について、システムを構築し、実施し、維持することが要求されます。
表1 規格要求事項
項番 | 要求事項 |
8. | マネジメントシステムに関する要求事項 |
8.1 | 選択肢 |
8.2 | マネジメントシステムの文書化(選択肢A) |
8.3 | マネジメントシステム部署の管理(選択肢A) |
8.4 | 記録の管理(選択肢A) |
8.5 | リスク及び機会への取組み(選択肢A) |
8.6 | 改善(選択肢A) |
8.7 | 是正処置(選択肢A) |
8.8 | 内部監査(選択肢A) |
8.9 | マネジメントレビュー(選択肢A) |
項番 | 要求事項 |
4. | 一般要求事項 |
4.1 | 公平性 |
4.2 | 機密保持 |
5. | 組織構成に関する要求事項 |
6. | 資源に関する要求事項 |
6.1 | 一般 |
6.2 | 要員 |
6.3 | 施設及び環境条件 |
6.4 | 設備 |
6.5 | 軽量トレーサビリティ |
6.6 | 外部から提供される製品及びサービス |
7. | プロセスに関する要求事項 |
7.1 | 依頼、見積仕様書及び契約のレビュー |
7.2 | 方法の選定、検証及び妥当性確認 |
7.3 | サンプリング |
7.4 | 試験・校正品目の取扱い |
7.5 | 技術的記録 |
7.6 | 測定不確かさの評価 |
7.7 | 結果の妥当性の確保 |
7.8 | 結果の報告 |
7.9 | 苦情 |
7.10 | 不適合業務 |
7.11 | データの管理及び情報マネジメント |
4. 認定登録の流れ
認定登録の流れを、認定後の活動も含めて下記に示します。
※審査機関により異なりますので、詳細は審査機関にお問い合わせください。
5. ISO/IEC 17025の審査、認定の機関
ISO/IEC17025規格に基づく、試験所・校正機関の審査、認定は次の機関が行っています。認定を受ける試験及び項目によって、認定機関を選ぶ必要があります。
- (1) 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)認定センター(IAJapan)
分野:JIS規格に規定する試験など - (2) 財団法人日本適合性認定協会(JAB)
分野:電気試験、電磁両立性試験、化学試験、機械試験など - (3) 株式会社電磁環境試験所認定センター(VLAC)
分野:EMC(電磁両立性)分野を主体とする試験 - (4) ペリージョンソン ラボラトリー アクレディテーション インク(PJLA)
分野:電気・機械・質量・熱力学校正と電気・機械・化学・油・生化学試験など
6. 認定取得活動について
- (1) 経営者の意志決定
- (2) 推進組織の設置
- (3) 規格要求事項の理解
- (4) 認定を受ける試験及び校正の項目決定
- (5) 現状の把握
要求事項の手順、必要な文書、及び記録の有無 - (6) システムの構築と実施
前記(5)で、不十分又は無い手順について、要求事項に合うように見直し又は作成して、必要な文書化を実施し、必要な記録を作成する。 - (7) 技能試験の実施
適切な機関に技能試験の実施を申し込み、その指示に従って技能試験を実施し、評価結果を入手する。 - (8) 申請
申請に際しては、表2の資料を添付することが要求される。 - (9) 予備審査(オプション) 指摘された不備を修正する。
- (10) 書類審査
申請と同時に書類審査が開始され、その結果の指摘事項に対して対応する。 - (11) 現地審査
業務の実施状況及び記録等が確認される。指摘された不適合事項について是正処置を実施し、その結果が受理されれば登録証が発行される。
表2 認定申請書添付書類リスト
No | 書類名称/内容 | 備 考 |
---|---|---|
1 | 誓約書 |
審査機関の様式 |
2 | 登記事項証明書 | 5.1 又は、登記簿謄本 |
3 | 定款(又は、寄附行為) | 5.1 |
4 | 事業概要書 | 5.1 法人の規模、事業内容等を記したもの |
5 | 組織図 | 5.3, 5.5 法人全体組織及び試験所組織。後者は主要な要員の規格上の役割と、氏名を記載 |
6 | 職員リスト | 6.2.5 認定業務に係るものすべて。主要な要員の規格上の役割と、氏名を記載 |
7 | マネジメントシステムを文書化したもの(品質マニュアル) | 8.1.1 |
8 | 内部校正対象設備一覧表 | 6.5.1 校正機関は対象外 審査機関の様式 |
9 | 標準物質リスト | 6.4.1 該当する場合にのみ提出 |
10 | 主要な試験、校正又はサンプリング設備のリスト及び配置図 | 6.4.13 設備配置図及び試験室建屋配置図 |
11 | 認定シンボル付校正証明書の写し又はそのリスト、内部校正がある場合はその計量トレーサビリティの体系図 | 6.5.1 校正が必要なものについて |
12 | 下請負契約者の登録簿 及び適合証拠記録 | 6.6.2 該当する場合にのみ提出 |
13 | 標準作業手順書または校正手順書 | 7.2.1.3 該当する場合にのみ提出。書類番号は必ず記載 |
14 | サンプリング手順書 | 7.3.1 該当する場合にのみ提出 |
15 | 測定の不確かさの推定手順書 及び 計算結果 | 7.6 校正機関の場合は最高測定能力 |
16 | 技能試験参加計画書及び技能試験参加履歴 | 7.7 技能試験参加履歴は審査機関の様式 |
17 | 試験報告書、校正証明書又はサンプリング報告書の様式 | 7.8.2.1 初回申請のサンプルには認定シンボルはつけずに位置とサイズを表示 |
18 | 品質文書リスト | 8.1.1 認定に係る品質マニュアル、規定・規準・規格、手順書、様式、記録等。外部文書を含む |
19 | 内部監査の記録 | 8.8 是正処置記録を含む |
20 | マネジメントレビューの記録 | 8.9 |
21 | 申請用チェックリスト(及び分野別チェックリスト) | 認定機関様式使用(電子ファイル(Wordファイル)も併せて提出)。分野別チェックリストは該当する場合にのみ提出 |
22 | 移動費申告書兼合意書 | 審査機関の様式 |
※審査機関により異なりますので、詳細は審査機関にお問い合わせください。
7. テクノソフトの認定取得支援コンサルティングの内容
認定のために必要な事項について、組織のご希望されるものについて支援いたします。例を表3に示します。
表3 コンサルティング内容
No | 項目 | 貴社推進メンバー | コンサルタント |
---|---|---|---|
1 | 規格要求事項の理解 | 提示されたマニュアル案・帳票サンプルを基に規格要求事項を理解する。 | 品質マニュアルの雛形・帳票類のサンプルを提示し、要求事項の内容と実施事項を説明する。 |
2 | 手順の見直し及び構築 | No.1の理解を踏まえ、変更の有無を確認し、必要な手順を構築する。(貴社主体) | 見直し・構築のアドバイス |
3 | 文書作成 | No.2の結果を踏まえ、必要な文書・帳票を作成する。(貴社主体) | 文書・帳票作成のアドバイス |
4 | 文書チェック | No.3作成の文書類を完成させる。(コンサル主体で貴社との共同作業) | No.3作成の文書類をレビューし、完成する。(コンサル主体で貴社との共同作業) |
5 | 内部監査員の養成 | 内部監査員の力量習得 | 講習実施 |
6 | 実施状況の確認 | 日常業務の中で | 模擬審査・内部監査立会・内部監査チェックリスト作成等 |
7 | 指摘事項の是正処置 | 是正処置の実施 | 原因調査と是正対策の決定 |
8.認定に関するスケジュール
認定登録までのスケジュールを表4に示します。認定までの機関は、組織のマネジメントシステムの構築状況及び取り組み、審査機関の状況によって変わります。
表4 スケジュール
項 目 | 月 | |||||||||||||||
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1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | |||
(1) | 規格の教育 | ISO17025要求事項の解説 | - | |||||||||||||
(2) | 現状把握 | 現行文書の確認、申請不足資料の確認 | - | - | ||||||||||||
(3) | 体制と責任 | 認定取得チーム、責任者の選任 | - | |||||||||||||
システム構築 | ☆------ | |||||||||||||||
(4) | マニュアル作成 | 品質システムの文書作成 | - | |||||||||||||
(5) | 文書・手順書類の作成 | 規定、手順書類の作成 | - | - | ||||||||||||
(6) | 不足データ・資料の作成 | トレーサビリティ、不確かさ評価のデータ、記録採取 | - | - | ||||||||||||
(7) | 関連文書類整備 | JIS等の文書整理 | - | - | ||||||||||||
(8) | 技能試験 | * | 申 込 |
- | - | - | * | 結 果 |
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運用 | 構築したシステムの運用、記録の作成 | ☆------------ | ||||||||||||||
(9) | 関連従業員の教育 | 運用記録として必須項目 | - | - | - | |||||||||||
(10) | 内部監査員養成セミナー | 2日間のセミナーで内部監査員を養成する | - | |||||||||||||
(11) | 内部監査の実施 | 運用記録として必須項目 | - | |||||||||||||
(12) | マネジメントレビューの実施 | 運用記録として必須項目 | - | |||||||||||||
(13) | 審査対策 | 書類・現地審査の対策 | - | |||||||||||||
(14) | 書類審査での指摘への対応 | 審査での指摘事項への対応 | - | |||||||||||||
(15) | 現場審査での指摘への対応 | 審査での指摘事項への対応 | - | |||||||||||||
審査関連 | 審査機関と申請の相談 | ☆ | ||||||||||||||
申請 | ☆ | |||||||||||||||
書類審査 | ☆ | |||||||||||||||
現場審査 | ☆ | |||||||||||||||
登録 | ◎ |
注意:審査関連については審査機関により変わる可能性があります。