JISQ9100 航空宇宙マネジメントシステム

1.JISQ9100とは
JIS Q 9100は、ISO9001規格に、航空・宇宙・防衛固有の要求事項が追加された、品質マネジメントシステムの規格です。米国のAS9100と欧州のEN9100と並び、世界標準の航空宇宙産業における品質マネジメント規格です。
JIS Q 9100を取得した組織は、自動的にIAQG(国際航空宇宙品質グループ)のベンダーリストであるIAQG-OASISデータベースに登録されます。日本では2024年10月現在、1500を超える事業所が登録しています。
欧米の主要航空宇宙関連製造企業では、9100規格への適合/第三者認証取得が契約条件となっています。国内主要企業、防衛省、宇宙航空研究開発機構(JAXA)なども調達品の品質要求としてJIS Q 9100認証取得を推奨または要求しています。従い、この規格の認証取得は、国内、欧米の航空宇宙産業市場への参入を意図する組織には必須といえるでしょう。
JIS Q 9100の認証は、航空・宇宙・防衛分野の製品を設計・開発・製造する組織だけではなく、商社、修理など関連するサプライチェーン全般で取得できます。

2.JIS Q 9100:2016とは
JIS Q 9100:2016は、ベースになるISO9001の2015年版が発行され、そのISO9001:2015との整合、及び9100固有の要求事項の強化を目的に、2016年版に改訂されたものです。ISO9001に追加されている主要な要求事項は次の通りです。
- リスクマネジメントによって、製品実現の過程及び製品の使用時における重要管理項目に管理を行う。
- 顧客満足の監視に、製品と納期の適合性の測定を含め、必要な処置を取る。
- 初回製品検査(FAI)を実施する。
- 引渡し後の支援を要求されます。
規格の構成(第4章から第10章)は、表1を参照願います。
3.JIS Q 9100の取得メリット
- 認証登録情報が世界共通データベースに登録、公開され、世界の航空宇宙メーカーと取引機会が得られる。
- JISQ9100によるマネジメントシステムは、安全・信頼性に関するリスクマネジメントに基づく高度な品質マネジメントシステムを可能にする。
- JISQ9100認証取得により、顧客による監視が免除あるいは簡素化され、顧客及び組織双方に監査などの費用が軽減され、コストダウンのメリットが得られる。
4.JIS Q 9100の審査、認定機関
JIS Q 9100規格の認証取得は、ISO9001と同様な審査方法がとられますが、現在次のような組織で行われています。
- 認定機関
- 日本適合性認定協会(JAB)
- 認証機関(審査実施機関)
- (一般財団法人)日本品質保証機構(JQA)
- (公益財団法人)防衛調達基盤整備協会(BSK)
- 日本検査キューエイ株式会社(JICQA)
- ロイドレジスタークオリティ・アシュアランス・リミテッド(LRQA)
- ビューロベリタス・ジャパン株式会社(BVJC)
- DNV GL ビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社(DNV GL BAJ)
- BSIグループジャパン株式会社
5.テクノソフトのコンサルティング内容
ISO9001審査員補資格以上を有し、マネジメントシステム構築に十分な経験を持ち、航空、防衛分野に詳しいコンサルタントが、以下の支援を行います。
- JISQ9100規格の解説を行います。
- 推進体制と責任者の任命についてアドバイスします。
- システム構築について、マニュアルや不足データ・資料などの作成を支援します。
- システム運用時に内部監査員の養成を行います。必要な場合、内部監査の実施も行います。
- 審査対応や、文書修正・改訂の支援、是正処置計画の作成、是正処置の支援など、是正処置への対応や支援を行います。
【特徴】
テクノソフトではJISQ9100認証取得のご支援に際し、システムの有効性を高め、自社で継続的な活動を行うために
- 現場にあった対応
- ムリ、ムダのないルール
- 簡潔で読みやすい文書作成を念頭に置いたコンサルティング
を行っております。
また、審査機関による登録審査での指摘への対応についても的確な対応や支援により、認証取得までに丁寧にサポート致します。
表1.JIS Q 9100要求事項
JISQ9100要求事項 | 9001 | 9100追加要求事項 | 9001から9100に追加された主な要求内容 |
1 適用範囲 | 〇 | ||
2 引用規格 | 〇 | ||
3 用語及び定義 | 〇 | 模倣品、クリティカルアイテム、キー特性、製品安全、特別要求事項 | |
4 組織の状況 | 〇 | ||
4.1 組織及びその状況の理解 | 〇 | ||
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 | 〇 | ||
4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 | 〇 | ||
4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス | 〇 | 要求事項には、顧客及び適用を受ける法規制も含める。利害関係者(顧客)の全般的記述(所謂、”品質要求(書)”)の文書化。 | |
5 リーダーシップ | 〇 | ||
5.1 リーダーシップ及びコミットメント | 〇 | ||
5.1.1 一般 | 〇 | ||
5.1.2 顧客重視 | 〇 | 製品の適合並びに納期通りの引き渡しに関するパフォーマンスデータ | |
5.2 方針 | 〇 | ||
5.2.1 品質方針の確立 | 〇 | ||
5.2.2 品質方針の伝達 | 〇 | ||
5.3 組織の役割,責任及び権限 | 〇 | ||
6 計画 | 〇 | ||
6.1 リスク及び機会への取組み | 〇 | ||
6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定 | 〇 | ||
6.3 変更の計画 | 〇 | ||
7 支援 | 〇 | ||
7.1 資源 | 〇 | ||
7.1.1 一般 | 〇 | ||
7.1.2 人々 | 〇 | ||
7.1.3 インフラストラクチャ | 〇 | ||
7.1.4 プロセスの運用に関する環境 | 〇 | ||
7.1.5 監視及び測定のための資源 | 〇 | 監視・測定機器の回収プロセス | |
7.1.6 組織の知識 | 〇 | ||
7.2 力量 | 〇 | ||
7.3 認識 | 〇 | 製品安全に対する貢献、倫理的行動の重要性 | |
7.4 コミュニケーション | 〇 | ||
7.5 文書化した情報 | 〇 | ||
7.5.1 一般 | 〇 | ||
7.5.2 作成及び更新 | 〇 | ||
7.5.3 文書化した情報の管理 | 〇 | ||
8 運用 | 〇 | ||
8.1 運用の計画及び管理 | 〇 | プロジェクトマネジメント、作業移管 | |
8.1.1 運用リスクマネジメント | 箇条8 運用におけるリスクマネジメントに関する要求事項 | ||
8.1.2 形態管理(コンフィギュレーションマネジメント) | 構成管理(コンフィグレーションマネジメント)に関する要求事項 | ||
8.1.3 製品安全 | 製品安全を保証するために必要なプロセス | ||
8.1.4 模倣品の防止 | 模倣品又はその疑いのある製品を防止するプロセス | ||
8.2 製品及びサービスに関する要求事項 | 〇 | ||
8.2.1 顧客とのコミュニケーション | 〇 | ||
8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化 | 〇 | 特別要求事項の明確化、運用リスクの特定 | |
8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー | 〇 | ||
8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更 | 〇 | ||
8.3 製品及びサービスの設計・開発 | 〇 | ||
8.3.1 一般 | 〇 | ||
8.3.2 設計・開発の計画 | 〇 | 計画時に考慮すべき項目を提示 | |
8.3.3 設計・開発へのインプット | 〇 | ||
8.3.4 設計・開発の管理 | 〇 | ||
8.3.4.1 | 検証、妥当性確認で実施する”試験”に対する要求事項 試験対象品を正しい形態(実際の使用条件下)で試験 | ||
8.3.5 設計・開発からのアウトプット | 〇 | クリティカルアイテムとそれに対して取られるべき特定の処置(検査・使用・保守) | |
8.3.6 設計・開発の変更 | 〇 | 顧客への事前通知プロセス | |
8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理 | 〇 | ||
8.4.1 一般 | 〇 | 外部提供者に関連するリスクの特定と管理 | |
8.4.1.1 | 承認状態及び承認範囲、外部提供者の定期的レビュー | ||
8.4.2 管理の方式及び程度 | 〇 | 外部提供の試験報告書を検証データとして用いる場合、試験報告書のデータ評価プロセス、正確さの妥当性確認プロセス | |
8.4.3 外部提供者に対する情報 | 〇 | 供給者へ要求すべき具体的項目を提示 | |
8.5 製造及びサービス提供 | 〇 | ||
8.5.1 製造及びサービス提供の管理 | 〇 | 製造・サービスの管理に、異物混入への対応、ユーティリティの管理、クリティカルアイテムの管理、ばらつきの測定、特殊工程が含まれる | |
8.5.1.1 設備,治工具及びソフトウェアプログラムの管理 | 設備、治工具、ソフトウエアの妥当性確認と点検に関する要求事項 | ||
8.5.1.2 特殊工程の妥当性確認及び管理 | 特殊工程(検査が出来ない・結果が後からでないと分からない工程)に対する要求事項 | ||
8.5.1.3 製造工程の検証 | 所謂”初回製品検査(FAI)”に関する要求事項 | ||
8.5.2 識別及びトレーサビリティ | 〇 | ||
8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物 | 〇 | 合格表示媒体(例えば、スタンプ、サイン)の管理 | |
8.5.4 保存 | 〇 | 製品の保存に含めなければならない具体的な項目を提示 | |
8.5.5 引渡し後の活動 | 〇 | ||
8.5.6 変更の管理 | 〇 | 製造工程の変更承認権限者の識別 | |
8.6 製品及びサービスのリリース | 〇 | ||
8.7 不適合なアウトプットの管理 | 〇 | ||
9 パフォーマンス評価 | 〇 | ||
9.1 監視,測定,分析及び評価 | 〇 | ||
9.1.1 一般 | 〇 | ||
9.1.2 顧客満足 | 〇 | 顧客満足の監視情報には、製品の適合性、納期達成、苦情・是正要求を含める。更なる満足の向上に向けて、課題・改善計画・有効性の評価を要求 | |
9.1.3 分析及び評価 | 〇 | ||
9.2 内部監査 | 〇 | ||
9.3 マネジメントレビュー | 〇 | ||
9.3.1 一般 | 〇 | ||
9.3.2 マネジメントレビューへのインプット | 〇 | 納期に関するパフォーマンスデータ | |
9.3.3 マネジメントレビューからのアウトプット | 〇 | 特定されたリスク | |
10 改善 | 〇 | ||
10.1 一般 | 〇 | ||
10.2 不適合及び是正処置 | 〇 | 原因には人的要因(human factors)を含める。効果的な是正処置がとられていない場合は、特別な処置を要求 | |
10.3 継続的改善 | 〇 |
6.JISQ9100認証取得までの流れ
認証取得までの期間の目安は12〜15ヶ月です。以下の内容は一般的なものであり、ご要望に応じて調整可能です。
- システム構築:6ヶ月
- システム運用:最低3ヶ月
- 審査機関による審査:認証取得まで最低3ヶ月が必要になります。
(1st、2ndの二段階審査。2nd審査後の是正処置を含む。)
支援項目/活動項目 | 経過月 | ||||||||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | |
ISO9001規格要求事項の理解 | ■ | ||||||||||||
組織の状況の理解 | ■ | ||||||||||||
目標設定、実行計画の策定 | ■ | ■ | |||||||||||
文書作成(システム構築) | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | |||||||
・マニュアルの作成 | ■ | ||||||||||||
・規定類の作成 | ■ | ■ | ■ | ||||||||||
・手順書類、帳票の整備、作成 | ■ | ■ | ■ | ||||||||||
・帳票の整備、作成 | ■ | ■ | ■ | ■ | |||||||||
・方針、目標、実行計画の策定 | ■ | ■ | |||||||||||
システムの運用 | ★ | ★ | ★ | ★ | ★ | ★ | ★ | ||||||
・従業員の教育、記録 | ■ | ||||||||||||
・内部監査員養成セミナー(2日間) | ■ | ||||||||||||
・内部監査実施、記録 | ★ | ||||||||||||
・マネジメントレビュー実施、記録 | ★ | ||||||||||||
登録1次審査への対応 | ■ | ||||||||||||
登録2次審査への対応 | ■ | ||||||||||||
■:コンサルタントが支援 ★:貴社で実施 ●:審査対応 | |||||||||||||
申請 | ● | ||||||||||||
登録1次審査 | ● | ||||||||||||
登録2次審査 | ● | ||||||||||||
認証取得 | ● |
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