ISO発行・改訂情報
ISO/DIS 14001(環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き)の概要
ISO14001:2015移行支援はこちらをご覧ください。
1.改訂版ISO14001の発行時期
2014年6月27日に、ISO14001:2004「環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き」の改訂版(案)にあたるDIS14001(国際規格原案/Draft International Standard)が発行されました。
DIS14001は、各国のISO加盟機関で構成される委員会での審議・投票を経て、2015年6~7月頃に、FDIS14001(最終国際規格案/Final Draft International Standards)として発行された後、2015年9月頃に、改訂版ISO14001:2015が発行される予定です。(2015年4月10日現在の情報)
また、改訂版ISO発行後3年以内に改訂新規格に移行する必要があり、移行審査を受けるにあたっては、EMS(環境マネジメントシステム)をISO14001:2015に準拠した変更・運用している実績(内部監査、マネジメントレビュー)が必要となります。また、運用開始時には、改めて新EMSの社員教育や内部監査員への教育も必要となります。
2.DIS 14001の構成
ISO14001:2015は、構成が大きく変わります。MSS共通テキスト(HLSとも呼ばれる)を採用して開発されており、箇条4~10からなるPDCA(Plan:箇条4~7 Do:箇条8 Check:箇条9 Act:箇条10)で構成されています。
また、ISO9001(品質)も、同様の箇条10からなる構成で改訂作業中であり、ISOマネジメントシステム規格構成の共通化が進んでいます。
ISO/DIS 14001の構成 | |
---|---|
Plan (計画) |
4 組織の状況 4.1 組織及びその状況の理解 |
5 リーダーシップ 5.1 リーダーシップ及びコミットメント |
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6 計画 6.1 脅威及び機会に関連するリスクへの取り組み |
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7 支援 7.1 資源 |
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Do (実施) |
8 運用 8.1 運用の計画及び管理 |
Check (チェック) |
9 パフォーマンス評価 9.1 監視、測定、分析及び評価 |
Act (処置・改善) |
10 改善 10.1 不適合及び是正処置 |
3.DIS 14001の主な改訂内容
DIS14001の主な改訂内容は、現行のISO14001の基本的な取組みを活かしながら、他のISOマネジメントシステムの規格構成の共通化と共に、“環境パフォーマンスの向上”、“順守義務”、“環境目的の履行”を意図した成果とし、要求事項が強化・明確化されているのが特徴です。
今回の改訂は、一見大きな変更は無いように見受けられますが、①構造の大きな変更や、②リーダーシップや脅威及び機会の取り組み、③ライフサイクルの考慮、④要求事項の追加・強化、などから、実際には、改訂に対して組織には相当な負荷が掛かると推測されます。
章 | (条項番号)改訂ポイント | ISO14001:2004 との比較 |
|
---|---|---|---|
新規 | 強化 | ||
4. 組織の状況 | 【4.1】組織及びその状況の理解として、組織の外部/内部の課題を決定する。 | ○ | |
【4.2】利害関係者のニーズ及び期待を決定する。 | ○ | ||
5. リーダーシップ | 【5.1.1】EMS有効性に対する説明責任、戦略的な方向性及び組織の状況を両立させる。 | ○ | |
【5.2】環境方針には、環境保護に対するコミットメント、環境パフォーマンス向上のためのEMSの継続的改善へのコミットメントが含まれる。 | ○ | ||
6. 計画 |
【6.1】脅威及び機会に関連するリスクを決定し、取り組むプロセスをEMSに統合し、実施・有効性を評価する。 | ○ | |
【6.1.2】ライフサイクルの視点を考慮した環境側面及び環境影響を特定する。 | ○ | ||
【6.2.2】環境目的達成のための活動の組織の事業プロセスへ統合を検討する。 | ○ | ||
7. 支援 |
【7.5】“文書”“記録”の表現が“文書化した情報”に統一された。 | ○ | |
8. 運用 |
【8.1】ライフサイクルの視点に従った、脅威及び機会に関連するリスク及び環境目的を計画し、実施・管理する。 | ○ | |
9. パフォーマンス評価 |
【9.1】環境パフォーマンスの監視、測定、及び評価の対象、基準、時期を決定する。 | ○ | |
【9.3】マネジメントレビューのインプットに、EMSの外部及び内部の課題の変化、EMS維持のための必要な資源の妥当性等が追加された。 | ○ | ||
【9.3】マネジメントレビューのアウトプットに、EMSの妥当性・有効性の結論、組織の戦略的方向性に関する事項等が追加された。 | ○ | ||
10. 改善 | 【-】予防処置の要求はなくなった。ただし、【6.1】項で同様の取組みが要求される。 | △ |
4.推奨される改正対応
- 環境マニュアルをISO14001:2015に合わせて全面的に改訂する。
- 現実に即し、活用しやすいように、業務プロセスの規定や手順を改訂し、ムリ・ムダのないマネジメントシステムにリフォームする。
- ISO14001:2015に適合したEMSを運用して、内部監査、マネジメントレビューを実施し、移行審査に備える。
- 経営と一体となった有効的なマネジメントシステムを構築し、成果が出るように運用する。
- ISO9001(品質)等、他のマネジメントシステムとの一元化も視野に入れて見直しする。