ISO発行・改訂情報

JISQ9100(品質マネジメントシステム-航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項)改訂情報

1.改訂版JISQ9100の発行時期・移行期限

 JIS Q 9100:2009「品質マネジメントシステム-航空、宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」は2016年に改訂すべく、その作業が進められています。
 2015年第4四半期に改訂案が出され、投票が行われます。可決されれば、2016年5月にAS 9100:2016が発行され、続いてJIS Q 9100:2016が2016年10月に発行される見込みです。
 今回の改訂は、要求事項の強化とISO 9001:2015との整合が主な目的です。
 移行期限は、2018年9月14日となるようです。これは、ISO 9001:2015の移行期限に合わせたためです。既に認証を取得している組織は、JIS Q 9100:2016発行後、2年足らずで、移行審査を受けて、2016年版の認証を受ける必要があります。

JISQ9100:2016移行

2.JISQ9100:2016の構成

 今回の改訂は、主として“既に発行されたISO9001:2015との整合”、及び“9100固有の要求事項の強化”を目的にしており、構成が大きく変わります。ISO 9001:2015と同様にマネジメントシステムの共通構造(HLSとも呼ばれる)を採用して開発され、箇条4~10からなるPDCA(Plan:箇条4~7 Do:箇条8 Check:箇条9 Act:箇条10)で構成されます。

改訂案の構成
Plan
(計画)

4 組織の状況

 4.1 組織及びその状況の理解
 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス

5 リーダーシップ

 5.1 リーダーシップ及びコミットメント
 5.2 品質方針
 5.3 組織の役割、責任及び権限

6 計画

 6.1 リスク及び機会への取組み
 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
 6.3 変更の計画

7 支援

 7.1 資源
   7.1.1 一般
   7.1.2 人々
   7.1.3 インフラストラクチャ
   7.1.4 プロセスの運用に関する環境
   7.1.5 監視及び測定のための資源
   7.1.6 組織の知識
 7.2 力量
 7.3 認識
 7.4 コミュニケーション
 7.5 文書化した情報

   7.5.1 一般
   7.5.2 作成及び更新
   7.5.3 文書化した情報の管理

Do
(実施)

8 運用

 8.1 運用の計画及び管理
   8.1.1 運用リスクマネジメント
   8.1.2 形態管理(コンフィグレーションマネジメント)
   8.1.3 製品安全
   8.1.4 模倣品の防止
 8.2 製品及びサービスの要求事項
   8.2.1 顧客とのコミュニケーション
   8.2.2 製品及びサービスに関連する要求事項の明確化
   8.2.3 製品及びサービスに関連する要求事項のレビュー
   8.2.4 製品及びサービスの要求事項の変更
 8.3 製品及びサービスの設計・開発
   8.3.1 一般
   8.3.2 設計・開発の計画
   8.3.3 設計・開発へのインプット
   8.3.4 設計・開発の管理
   8.3.5 設計開発からのアウトプット
   8.3.6 設計・開発の変更
 8.4 外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理
   8.4.1 一般
   8.4.2 管理の方法及び程度
   8.4.3 外部提供者に対する情報
 8.5 製造及びサービス提供
   8.5.1 製造及びサービス提供の管理
   8.5.2 識別及びトレーサビリティ
   8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
   8.5.4 保存
   8.5.5 引渡し後の活動
   8.5.6 変更の管理
 8.6 製品及びサービスのリリース
 8.7 不適合なアウトプットの管理

Check
(チェック)

9 パフォーマンス評価

 9.1 監視、測定、分析及び評価
   9.1.1 一般
   9.1.2 顧客満足
   9.1.3 分析及び評価
 9.2 内部監査
 9.3 マネジメントレビューー

Act
(処置・改善)

10 改善

 10.1 一般
 10.2 不適合及び是正処置
 10.3 継続的改善

3.JISQ9100:2016の主な変更点

“ISO9001:2015との整合”および“9100としての要求事項の強化”という観点から、以下のような変更があります。

(1)ISO9001:2015に基づく変更

  • 全体の構造(章)の変更
  • リスクに基づく考え方
  • 組織の事業プロセスへのQMSの統合を伴う、プロセスアプローチの強化と明確化
  • 変更管理の重視
  • 知識に関するマネジメント
  • 組織の状況のより明確な理解
  • 組織の戦略とのQMS品質方針及び品質目標の整合
  • 明確なパフォーマンス評価要求事項
  • 文書化のより高い柔軟性

(2)9100の追加事項

  • 製品安全;製品ライフサイクルを通して「製品安全」の考慮すべき事項を取扱うため、新しい要求事項として追加
  • ヒューマンファクターズ:不適合/是正処置の箇条にヒューマンファクターに基づく再発防止の観点を追加
  • リスク:ISO9001:2015と9100の要求事項の統合及び運用におけるリスクの重視
  • 予防処置:リスク、機会及び不適合、是正処置に係る要求事項に、現在の要求事項を組み込み、予防を強化するため追加
  • 模倣品(Counterfeit Parts):模倣品又は模倣品の疑いのある部品の仕様を防止するため、新しい要求事項として追加
  • 形態管理(Configuration Management):ステークホルダーのニーズを取扱うため、要求事項の明確化と改善
  • 製品実現計画(Product Realization & Planning):規格全体を通して、計画プロセス・要求事項の明確化と強化 (要求されたFAI、APQPのつながりを明確化)
  • プロジェクトマネジメント及び作業移管(Project Management & Work Transfer):ユーザー解釈の問題を取扱うため、個別箇条ではなく、運用計画の箇条8.1に組み込み
  • 設計開発及び供給者管理(Design Development and Supplier Management):ギャップ分析の結果の反映-IAQGのニーズを満たす、ISO本文を取り戻し、追加
  • 品質マニュアル(Quality Manual):品質マニュアル又は同等の文書を作成する要求に対して注記を追加
  • 管理責任者(Management Representative):QMS全体をオーバーサイト(管理、監視)する役割を担う管理責任者の要求事項を追加    
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